いずれがあやめかかきつばたのブンガク」 [文学]

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新宿のアンティークフェアーに着た着物の柄。

この季節になると花菖蒲とあやめと杜若の違いが話題になりますね。

アヤメは花びらの基のところがアヤメ(網目)になっているとして
花菖蒲と杜若…。
花びらの基が黄色が花菖蒲、白が杜若でしたっけ?

するとこの柄は何~[あせあせ(飛び散る汗)]

杜若ということにして[ひらめき]
「かきつばた」といえば伊勢物語の東下り

なんとなく知っているけど…という方も多いと思いますので復習してみてください[わーい(嬉しい顔)]

昔男ありけり。その男、身をえうなきものに思ひなして、京にはあらじ、東の方に住むべき国求めにとて行きけり。
   伊勢物語のモデルとされたのはご存じ六歌仙の在原業平。
   自分を「えうなきもの」=無用の者と思ってしまうほどの強い疎外感。
   命がけの恋をして、その女性がどうにもならない強力な力によって奪われてしまった無力感。
   そんな気持ちの中男は京都にはいられまいと東国へと旅立ちます。


もとより友とする人、一人二人して行きけり。道知れる人もなくて惑ひ行きけり。三河国八橋といふ所に至りぬ。そこを八橋と言ひけるは、水ゆく川の蜘蛛手なれば、橋を八つ渡せるによりてなむ八橋と言ひける。その沢のほとりの本のかげにおりゐて、乾飯食ひけり。その沢にかきつばたいとおもしろく咲きたり。

   今の愛知県知立市八橋のあたりです。
   伊勢物語は平安時代の作品。
   時をかけて平成から平安の地に想像を馳せることができるってスゴイことですね。
   光琳をだすまでもなく、八橋はおなじみの画材ですね。
   江戸時代の小袖にも八橋と杜若の柄ゆきの着物ありますし、伊勢物語は風流人には必須です。
   

   さてこの伊勢物語、

   「かきつばた」の五文字を句の頭に据えて旅の心を詠め、というお題がでます。

 から衣 きつつなれにし つまあれば  はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ        (着物を何度も着ているとなれてくる、そのなれではないが、慣れ親しんだ妻が都にいるので、
        はるばるやってきた旅をしたものだなあと、この旅をしみじみと思うことだ)

       
  この歌を聞いて皆は望郷の思いで乾飯の上に涙を落としてしまいます。
  

  伊勢物語のこの段の前には以前「露のブンガク」でもご紹介した男が高貴な女を奪って逃げたところ、鬼  に食われてしまう話(鬼=女の追手で、実は女が連れもどされる話)があります。
  男(在原業平)の望郷と都にいる恋人(藤原高子)への思慕が伝わる場面です。
  伊勢物語はいわゆる古典文学のジャンルでは「歌物語」にはいるのですが、和歌が物語の核となってい   るところが抒情的というだけでなく、その材となる風物「露であったり、杜若であったり)が日本人の抒情性  に訴える点で愛されているのでしょう。






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はくちゃん

おはようございます
(^^)/

by はくちゃん (2011-07-03 09:39) 

madamM

はくちゃんさんおはようございます。今日も暑そうです。
by madamM (2011-07-04 06:49) 

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