光のブンガク [文学]
イルミネーションの美しい季節になってきました。
私は小説は文体を読むものと思っていますので、
原文で読めない(あるいはニュアンスが掴めない)海外小説は苦手なのが本音です。
高校時代読んだサガンは、朝吹さんの訳が既に匂いのある文体を持っていたので大好きでしたが。
あ、遡ると小学生の時に読んだルブランのアルセーヌ・ルパンシリーズもそうかもしれません(笑)
そういえば、アルセーヌ・ルパンが私の初恋の人でしたわ。
私の初恋話はさておき(笑)
中学生でドストエフスキーにはまったのち
なぜかフランソワーズ・サガンに落ち着くという…。
とりあえず思春期にかけて、世界名作といわれる作品をかたっぱしから読んだものの、
ストーリーを理解して満足、的な感じでした。
ですから
大人になって新たな作家を開拓することはなかなかなかったのですが
今回のブンガクはその数少ない作家、
ガルシア・マルケスの「光は水のよう」
9歳のトトーと7歳のジョエルが両親が不在の夜、
ボートを二階に上げ、
そのうえでドアと窓をすべて閉めて、居間の明かりが灯ったままの電球を割ります。
すると光は水のように流れだし、部屋を満たしていきます。
その中を二人はボートで航海するという話。
ストーリーを書いてしまうと味もそっけもないです。
後半少し引用してみます。
カステリャーナ通りを通りかかった人たちは、樹木の合間に埋もれた古いビルから光が滝になって落ちているの見た。それはバルコニーからこぼれて建物の前面を奔流となって流れ落ち、大通りを黄金色の激流となって流れながら、グアダラーマ山脈のふもとまで町中を照らし出した。
光が黄金色の煌めきに溢れながら流れ出る、幻想的な情景が目に浮かびます。
嬉々とする子供たち
歓声、拍手、弾む笑顔が見えるようです。
ガルシア・マルケスはコロンビア生まれで、ラテンアメリカは4人目のノーベル文学賞を受けた人。
「百年の孤独」が代表作品で、日本の知識人にも多大な影響を与えたといわれています。
この「光は水のよう」は「十二の遍歴の物語」に収められている幻想的な短編です。
興味を持たれた方は是非読んでみてください。
予告された殺人の記録・十二の遍歴の物語 (Obras de Garc〓a M〓rquez (1976-1992))
- 作者: ガブリエル ガルシア=マルケス
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/01
- メディア: 単行本
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