撫子のブンガク [和歌]

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撫子はその音から「幼子」をイメージさせます。源氏物語常夏でも、夕顔は頭の中将に娘(後の玉蔓)の行く末を託し、
          山がつの垣ほ荒るとも折々に あはれはかけよ撫子の露  夕顔

          咲混じる色はいづれと分かねども なほ常夏にしくものぞなき  頭中将


幼い子を可愛がって欲しいという夕顔に、頭中将は沢山の女性がいるけれども貴女ほどの人はいないと答えます。このやりとりでも頭中将は娘は頭にないなあという気がしますよね。予想通り玉蔓は母亡き後地方暮らしを余儀なくされ、つらい子供時代をすごします。
 この源氏物語第2帖「帚木」は有名な「雨夜の品さだめ」のくだりが書かれている段です。雨の夜、源氏をはじめ青年たちが女性談義を繰り広げ、その中で頭中将が昔契りを結んだ身分の低い女性の話(夕顔のことです)を始めます。話の中では中流の女性がいいぞ、ということになり、それがきっかけで源氏は空蝉に興味をいだくことになるのです。そしてこのくだりが伏線で、夕顔と出会い、六条御息所が生霊となり…と物語は大きく展開していきます。

源氏物語第22帖「玉蔓」では上記の和歌をうけ再び撫子の和歌が登場します。

         撫子のとこなつかしき色を見ば もとの垣根を 人はたづねむ

 

 枕草子でもなでしこは愛されています。 

         草の花はなでしこ 唐のはさらなり やまともめでたし

また、万葉集でも

       野辺見れば 撫子の花さきにけり わが待つ秋は近づくらしも

   とその辺に咲いてる草花です。雑草に近い感覚だったのでしょうが、万葉の時代から撫子は風に揺らぐその楚々としたいでたちと意外に強いしなやかさとで愛されてきたのではないでしょうか。

        





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