朝顔のブンガク [花]
朝顔は江戸時代品種改良が最も進んだ植物ですね。もともと奈良時代薬用植物として中国から伝えられた朝顔の花は青色の小さな花でした。
朝顔はすでに万葉集にその名が記されています。
萩の花尾花葛花なでしこのはな 女郎花また藤袴朝顔の花
山上憶良
けれどもこの朝顔は桔梗であるとも、朝咲いて夕方散る花の総称とも言われています。
そんな地味な朝顔が大ブレイクしたのが江戸時代。朝顔はコンパクトで庭がなくても栽培できるということで、大人気になり、次々に変わった花を咲かせる朝顔を作り上げていきます。
江戸時代の園芸ブームは半端じゃなかったそうです。各蕃が幕府に献上する新種の植物は「御留花」といわれ市場にでないもの。けれどもなぜか、欲しいという好事家がいれば手に入る蛇の道はへび。ハイビスカスやジャスミンなんて洋花もしっかりとあったようです。
オランダで品種改良がすすみ、球根のダイアモンドといわれたチューリップの変わり咲きが劣性遺伝であるように、変化朝顔の花も劣性遺伝の突然変異が多いので、実がつかなかったり、一代で先祖帰りしたりしてなかなかその種は伝わりません。それでも、人々は熱心に朝顔を育てたのです。
先日行った向島百花園で変化朝顔が咲いていました。桔梗咲きであったり、蘭のようであったり、素晴らしいです。私が初めて変化朝顔を見たのは10年くらい前。「歴博」でです。江戸っ子の歴史が凝縮しているよな気がします。そういえばアンティーク着物「wing」のオーナー田中翼さんも変化朝顔の愛好者であるとお聞きしました。今回はブンガクといっておきながら少々話が横道にそれました。
最初の縮緬の染めの朝顔のように大輪も好まれていたようです。より大きく、大きく。でも、この古布、縮緬で朝顔っていったいどういうものだったのでしょう?
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