月見のブンガク [文学]

冬の訪れの前に月見のブンガクを書いておこうかと。


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十五夜は中国、台湾、韓国でも行われる風習ですね。おなじみ月餅は中秋を祝うお菓子です十三夜のお月見はどうやら日本独特の行事のようです。
十三夜の月そのものが美しいのもその理由の一つです。
しかし、同時にそこには日本人の美意識が込められているのではないでしょうか。


徒然草に
花は盛りに、月はくまなきを見るものかは。

という一節がありますよね。

望月のくまなきを千里の外まで眺めたるよりも、暁ちかくなりて待ち出でたるが、いと心深う、青みたるやうにて、深き山の杉の梢に見えたる木の間の影、うちしぐれたるむら雲隠れのほど、またなくあわれなり。                                                      徒然草第137段 (満月のくもりがない月をはるか遠くまで眺めているよりも、夜明け近くになって待ちわびて出てきた月がとても趣深く、青みを帯びている様子で深い杉の梢い見えている木々の間の月の光、さっとしぐれを降らせている一群の雲に隠れた有様などの方がこの上なく趣深い。)

この美意識。ぜーんぶ、100パーセントじゃない方が良いという感じ。
もうちょっとで満月になるよ~というその月に美しさを感じる。

ユーミンの曲にも「14番目の月」といのがありましたね[るんるん]

平安貴族たちも月見の宴では直接月見をするというよりも、
舟遊びをしながら水面に映る月を愛でるという、なんともまどろっこしい月見をしました。
これは、去年「紅葉のブンガク」の時にも書きましたが
紅葉もその美しさを表現するときは水面に浮かぶ紅葉として表現され、
色ずく紅葉は「変わりゆくもの」や「寂しさ」をあらわすことが多かった。



月と聞いて誰もが思い出す百人一首

    天の原ふりさけみれば 春日なる 三笠の山にいでし月かも  安倍仲麻呂


は望郷の思いを月に託していますし、竹取物語で、月をみて悲しむかぐや姫も故郷恋しさ。



ただ、秋の月の光は冴え冴えとしていて、朧月の春の月とは趣が違うことも確かです。
源氏物語で光源氏が弘徽殿の女御の四宮朧月と恋に落ちるのは春の月の下。
春の月の光は人を狂おしくさせ、
秋の月の光は淋しさを増長させる…のかもしれません。








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