オノマトペ [記憶しておきたいもの]
今日は着物とは関係のない話です。
先日の雪の日、朝のニュースで「雪がいっそう激しさを増し、しんしんと降ってきました」という
新宿駅からの中継を違和感を持って聞きました。
激しく降っていたのは、テッシュペーパーをちぎったようなボタン雪。
それで、そのことをつぶやいたところ
すぐに、沢山の着物友達から反応がありました。
皆さん「激しく降る」に「しんしん」はおかしいと思うという反応です
音もなく静かに、ひたすら寒々と雪が降る様子が「しんしん」ですから
激しくても、小雪でも構わないわけですし、
むしろ小雪なら「ちらちら」のほうが適当なので、意味自体では全くの間違いとは言えないはずですよね。
それでも、やはり
日本人の感覚だと「激しく降る」に「しんしん」はそぐわない気がする。
「激しく」は「動」
「しんしん」は「静」のニュアンス。
そこから「じゃあ、はげしく降る時はなんて言うの?」という問いかけが生まれ
皆悩んでしまいました。
私が「ざんざん」をふと挙げてみたら
それって雪でもOKなの?という反応。
「ざんざん」は雨が激しく降る様子のオノマトペですが
私のイメージでは「水気を多く含んだボタン雪」や「みぞれ」は許容範囲だったのです。
ただ、それはあくまでも私のイメージだったようで
「ザーザー」と同じニュアンスでとらえると
「ザーザー雪が降る」とは言わないのと同じように「ざんざん雪が降る」とは言わない。
土砂降りの雪とは言わないように。
日本語は他の言語に比べてオノマトペ(擬声語・擬態語)が豊富だと言われています。
特に水に関するオノマトペは非常にたくさんあり
いかに日本人が水に親しみ、水とともに暮らしていたかわかります。
その中で、雪に関するオノマトペは随分と少ないね~というのが
皆の感想です。
雪のオノマトペは「しんしん」「ちらちら」くらいしかないよね、と。
どちらも、さらりとした感覚。
じゃあ、話を戻してボタン雪は?
「ボタボタ」とか「ボテボテ」「ビタビタ」とかいいかも~と最後は造語も飛び出しました。
新潟出身の友人が「ぼんぼん降るって言ってた」とつぶやいてくれて、でも造語かも?とも。
造語だとしても雪国のリアルな造語なんだと思います。
そういえば、以前記事にもしました宮澤賢治の「永訣の朝」では
みぞれまじりの雪を「あめゆき」と呼んで「びちょびちょ」降ってくると表現しています。
賢治はそういうキャッチーなオノマトペの天才だったかもしれませんね。
一度聞いたら忘れない
「クラムボンはカプカプ笑ったよ」(やまなし)
もそうですし
「どっどど、どどうど、どどうど、どどう」(風の又三郎)
もそうです。
賢治も岩手県の人ですし
雪国の方言は?などと更に話が広がり
またまた着物友達が秋田の方言を見つけてきてくれて
「さくさく」「もっそもそ」「びしびし」なんて聞いたことないのもあって
皆さん興味深々
降る様子、積もった状態を表す表現の他に
「歓迎する雪」と「歓迎しない雪」の表現に違いがあったりして
雪とともに暮らす人々の生の生活がそのまま言葉になっているんだぁと実感。
丸一日以上(勿論途中長いインターバル何回かあって)こんなやりとりしてまして
とっても楽しかった
こんな、ふとした疑問に、ここまで付き合ってくれる友人たちにも感謝なのですが
皆さん知的好奇心に溢れている
こんなの知ってるよ!とか
それはどうなの?とか
色んな切り口で言葉を投げてくださる。
一緒に考えよう、そして楽しもうという気持ちがある。
「着物好きだから友達」なのではないということを痛感。
人間として「いとおかし」な人々なのです。
ああ~、また着物に感謝
先日の雪の日、朝のニュースで「雪がいっそう激しさを増し、しんしんと降ってきました」という
新宿駅からの中継を違和感を持って聞きました。
激しく降っていたのは、テッシュペーパーをちぎったようなボタン雪。
それで、そのことをつぶやいたところ
すぐに、沢山の着物友達から反応がありました。
皆さん「激しく降る」に「しんしん」はおかしいと思うという反応です
音もなく静かに、ひたすら寒々と雪が降る様子が「しんしん」ですから
激しくても、小雪でも構わないわけですし、
むしろ小雪なら「ちらちら」のほうが適当なので、意味自体では全くの間違いとは言えないはずですよね。
それでも、やはり
日本人の感覚だと「激しく降る」に「しんしん」はそぐわない気がする。
「激しく」は「動」
「しんしん」は「静」のニュアンス。
そこから「じゃあ、はげしく降る時はなんて言うの?」という問いかけが生まれ
皆悩んでしまいました。
私が「ざんざん」をふと挙げてみたら
それって雪でもOKなの?という反応。
「ざんざん」は雨が激しく降る様子のオノマトペですが
私のイメージでは「水気を多く含んだボタン雪」や「みぞれ」は許容範囲だったのです。
ただ、それはあくまでも私のイメージだったようで
「ザーザー」と同じニュアンスでとらえると
「ザーザー雪が降る」とは言わないのと同じように「ざんざん雪が降る」とは言わない。
土砂降りの雪とは言わないように。
日本語は他の言語に比べてオノマトペ(擬声語・擬態語)が豊富だと言われています。
特に水に関するオノマトペは非常にたくさんあり
いかに日本人が水に親しみ、水とともに暮らしていたかわかります。
その中で、雪に関するオノマトペは随分と少ないね~というのが
皆の感想です。
雪のオノマトペは「しんしん」「ちらちら」くらいしかないよね、と。
どちらも、さらりとした感覚。
じゃあ、話を戻してボタン雪は?
「ボタボタ」とか「ボテボテ」「ビタビタ」とかいいかも~と最後は造語も飛び出しました。
新潟出身の友人が「ぼんぼん降るって言ってた」とつぶやいてくれて、でも造語かも?とも。
造語だとしても雪国のリアルな造語なんだと思います。
そういえば、以前記事にもしました宮澤賢治の「永訣の朝」では
みぞれまじりの雪を「あめゆき」と呼んで「びちょびちょ」降ってくると表現しています。
賢治はそういうキャッチーなオノマトペの天才だったかもしれませんね。
一度聞いたら忘れない
「クラムボンはカプカプ笑ったよ」(やまなし)
もそうですし
「どっどど、どどうど、どどうど、どどう」(風の又三郎)
もそうです。
賢治も岩手県の人ですし
雪国の方言は?などと更に話が広がり
またまた着物友達が秋田の方言を見つけてきてくれて
「さくさく」「もっそもそ」「びしびし」なんて聞いたことないのもあって
皆さん興味深々
降る様子、積もった状態を表す表現の他に
「歓迎する雪」と「歓迎しない雪」の表現に違いがあったりして
雪とともに暮らす人々の生の生活がそのまま言葉になっているんだぁと実感。
丸一日以上(勿論途中長いインターバル何回かあって)こんなやりとりしてまして
とっても楽しかった
こんな、ふとした疑問に、ここまで付き合ってくれる友人たちにも感謝なのですが
皆さん知的好奇心に溢れている
こんなの知ってるよ!とか
それはどうなの?とか
色んな切り口で言葉を投げてくださる。
一緒に考えよう、そして楽しもうという気持ちがある。
「着物好きだから友達」なのではないということを痛感。
人間として「いとおかし」な人々なのです。
ああ~、また着物に感謝
2012-03-03 22:17
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興味深く読ませていただきました。
私は雪国・新潟育ちですが、どう表現したらいいのか
考えちゃいました。
ぼたぼた降る? ぼんぼんとは言わないし・・・
今度新潟の母に聞いてみたいと思います・・・20分くらい考えちゃいました^^;
by asaka (2012-03-03 23:35)
興味深く読みました。私の家の方では、雨でも雪でもたくさん降った時は「しみじみ降った」って言います。ちゃんと対策をしていたのに、予想に反して降らなかった時は、「しみじみ降らなかった」って言います。
また、きちんとしていないことを「しみじみしない」といいます(笑)「もっと、しみじみやって!」とか。
by itomaki (2012-03-03 23:53)
私もそれを聞いていたら違和感を覚えたことでしょう。日本語の奥の深さを感じますね。
私は雪と縁のない所で育ったのでわかりませんが、”ずんずん”とかどうでしょう?^^;
by sako (2012-03-04 11:38)
雪の降り方ひとつでもいろんな表現があって楽しいですね。 私は雪が降る様子はすべて「しんしん」と表現することがほとんどです。 と言うか、それ以外は浮かびません(汗)。
by ため息の午後 (2012-03-04 19:19)
madamのブログ読みやすいっ(*´∇`*)流石ですね。どかどか降るっていいません?どか雪からのイメージかしら……
by 紗緒理 (2012-03-05 08:51)
asakaさんコメントありがとうございます。
悩んじゃいますよね?是非、新潟のお母様にお聞きください。
雨の降り方は、しとしとからザーザーまでバリエーション豊かなのに不思議です。
by madamM (2012-03-05 13:13)
itomakiさんコメントありがとうございます。
「しみじみ降った」ってなんか可愛いですね~。初めて聞きました。同じ首都圏でも知らない言葉ありますよね。
そういえば、母方の祖母が真岡だったのですが、「押す」こと「おっぺする」って言ってたような…。
by madamM (2012-03-05 13:18)
sakoさんコメントありがとうございます。
そうですよね、雪と関わりのない暮らしには多分オノマトペは生まれないんだと思います。
スコール=雨の国の人は「しとしと」雨が降るって何?と思うでしょうし。
「ずんずん」も激しく降っている様子<どんどん降り積もっていく様子っぽいですよね。窓の外見て「雪、ずんずん降ってるね~。」って言わないかも、なんです。
by madamM (2012-03-05 13:30)
ため息の午後さんコメントありがとうございます。
奈良の雪はみんな「しんしん」と降りそうな気がします。(笑)都から遠く離れた東の人間のイメージです。
by madamM (2012-03-05 13:33)
紗緒理さんコメントありがとうございます。
足かけ2日に及んだ、せっかくの皆さんのツイート、記事にしない手はないと思いました。(ブログネタをつくっていただいちゃったということかも?)
「どかどか」は、話言葉では現在進行形でなく、結果として大雪だったという時に使われませんか?書き言葉としては良いかも?
by madamM (2012-03-05 13:39)
面白く読ませていただきました!
私のそのニュース見ていました。
しんしんと、でアレとは確かに思ったものの、そういうこともあるかと思いました。
確かに、なんと言ったらいいのでしょうか。。。。。
雪が降るときには雨のようには音がしないから、雪の降るさまをオノマトペにするとどうしても「視覚的」なコトバになり、あの情景をオノマトペに落とし込むのは難しかったのではないでしょうか・・・と、思いました。
雨にはいろいろな音があるから、「聴覚的」なオノマトペが生まれやすいのでは?
外がやけに静かだな、と思って見ると雪が降っていたりする気がします。
歌には「雪やこんこん♪、あられやこんこん♪」てのがありましたね!
北海道出身の母&長野出身の父に今度聞いてきます♪
by エル (2012-03-08 23:42)
エルちゃんコメントありがとうございます。
そうなんです。♪雪やこんこ、あられやこんこ
これが日本人の雪の原風景オノマトペかと…。
是非ご両親に聞いた結果教えてください~☆
by madamM (2012-03-13 22:43)