紫陽花のブンガク [文学]

紫陽花

紫陽花


6月に入り紫陽花が本当に美しい季節になりました。曇天の空に映える花は珍しいのではないでしょうか。グレーがかった空に、あるいは雨上がりの露を葉にたたえ、紫陽花の青がうっそうと茂り、重なり咲く美しさは日本の美意識そのものでしょう。
けれども、

言問はぬ木すら紫陽花諸茅等が練の村戸にあざむかえけり

大伴家持
物言わない木でさえも、色の変わりやすい紫陽花や諸茅などの一筋縄でいかない心に、欺かれたというようです


万葉集に紫陽花を詠んだ歌は2首のみ。意外に少ないのです。平安時代のブンガクにも紫陽花はあまりクローズアップされません。不思議です。
 その理由のひとつに、当時の紫陽花は現在の園芸種ではなく、原種のガクアジサイやヤマアジサイだったからという事がいわれています。それが、海外に渡り、園芸種として注目されその後日本に逆輸入されて再び日本人の手によって品種改良されたようです。園芸品種ハイドランジアには日本人の女性の名前がついているものもあります。 
 アジは集、サイは青が語源ですから、原種の紫陽花は青色、明月院の姫紫陽花も青一色でした。よく、土壌がアルカリ性だと青色、酸性だと赤色になるといわれていますが、同じ場所に植えられている紫陽花でも、赤だったり、ピンクだったり、青やグリーン紫とさまざまな色がありますね。家持の歌も七変化する花の色を移る心に喩えています。
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