山吹のブンガク [文学]

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山吹は藤と共に晩春を彩る花ですが、鎌倉には山吹が紫陽花と共に彩りを添えていたので、今回は山吹のブンガクの話を…。
 以前にも書きましたが、源氏物語の中で山吹に喩えられる女君は玉鬘。一夜にして源氏の腕の中で息絶えた夕顔の忘れ形見です。
 彼女は夕顔と頭中将の間に生まれた娘ですが、頭中将には玉鬘の存在は全く知らされず、玉鬘は田舎暮らしを余儀なくされて暮らしていました。その玉鬘の存在を突きとめ、源氏は養女として迎え入れます。
 源氏の息子夕霧は玉鬘がどのように美しい娘か興味津々なのですが、源氏は絶対に玉鬘の姿を見せません。自分と藤壷との過ちをふまえての防衛策です。
 しかしあるとき夕霧は玉鬘を垣間見してしまいます。源氏と添い寝する玉鬘を見て、どきどきしてしまうのです。父と娘があんなにしどけない姿で添い寝していいのか?と思うわけです。勿論源氏は玉鬘に対し父というより、愛人になりたいわけですが、玉鬘は源氏を父としてしかみられないし何故本当の父と対面させてくれないのかいぶかしんでいます。聡明で、かつ艶やかで美しい玉鬘ですが、山吹に喩えられるのは「深窓のお嬢様」ではないどこか田舎くささ、しどけない姿を見られてしまう、よい意味でのゆるさをもっていたからなのかもしれません。
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