石榴のブンガク [文学]

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高校に自転車通学の娘に先日
「お母さん、木に玉ねぎが成っているんだけど何だろう?」
と聞かれ
「玉ねぎは木に成らないでしょう。…柿?」
「いくらなんでも柿ならわかるよ。」
「下にぶら下がっている感じ?刺さっている感じ?」
「う~ん、刺さっている感じ。」
「じゃあ、かりんかな?」
(この時点でお絵かきタイムになっています。)
「でも、玉ねぎなんだよ。玉ねぎのシュッてなってるところが、ボサボサってなってるの。」
(意味わかりますか?)
「ボサボサって何~[わーい(嬉しい顔)]
私は泣きながら笑ってました。

結局それは石榴ではないかと…。

翌日私も通勤の時気にして石榴を見てみると


確かに玉ねぎでした(笑)


アホな母娘の会話にお付き合いいただきましてありがとうございます。

でも、そのくらい石榴はフルーツ界ではマイナーです。
ジュースや健康食品としては食したことがあっても
その実を生で食べたことがある若い人は少ないかもしれません。

私の実家には石榴の木があり、子供の頃は
ぱっくりと開いた熟した石榴をよく食べたりしていました。
実の中のルビーのようなプチプチ感と酸味
もしかしたら、私くらいの年齢の方には懐かしい思い出かもしれませんね。



石榴は人の味がする。

そんなこともよく言われました。

鬼子母神が右手に持っているのは石榴です。
『500人(千人とも一万ともいわれているそうですが)もの子供の母親でありながら、他人の子供を食う鬼神「可梨帝母」に釈迦が説教をし、石榴を与えて人肉を食べないように約束させた』という伝承から石榴は人の味がするということが伝わったようです。

それ以降、「可梨帝母」は「鬼子母神」という子育ての神になるのですから、子食いが子育てという真逆の神になったわけです。


中国では割れた実の中の種子の多さから多産のおめでたい文様で、
帯の柄にはよく見かけます。
先日のakirakoさんの帯もそうでしたし

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私も夏帯と袷帯の二本を持っています。

でも、これからの帯に石榴が描かれ続けるか…
若い方にも果実としての石榴覚えておいていただきたいですね。


さて、石榴を詠んだ印象的な句を!

石榴が口をあけた たはけた恋だ  尾崎放哉(おざきほうさい)

彼についてはまたどこかで詳しく書きたいと思っています。



鬼子母神がらみでもう一編。
鬼子母神と妖怪「姑獲鳥(うぶめ)」をからめてミステリーにした「姑獲鳥の夏」

私の大好きな作家京極夏彦氏のデビュー作です。

姑獲鳥は妊婦の妖怪です。
妊婦が死ぬと姑獲鳥になるといわれ、伝承の中には子供を攫うとも伝えられています。
その姑獲鳥に喩えられる二十ヶ月も子供を身ごもったままの妊婦。
その夫の失踪、連続して起こる嬰児死亡の謎。
いまだに彼の作品の中では一番好きな作品です。

実相寺監督が映画にしてます。
ヒロインの原田知世が温室で倒れるのをみて喜んだ同世代の方がきっといるハズ。




文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/09/14
  • メディア: 文庫


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